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【プレスリリース】【未来創造ユースチーム】 鉄道会社の障がいを持つ方への対応に関する調査結果を発表

 この度、未来創造ユースチーム(静岡県熱海市、事務局:株式会社未来創造部 代表:枝廣淳子)は、「『誰ひとり取り残さない社会』を目指して! 鉄道会社の障がいを持つ方への対応に関するアンケート調査」の結果を発表しました。本調査は、障がいのある方にとって暮らしやすい社会の実現を目指して、全国の鉄道会社36社を対象に実施したものです。

 

1.調査のきっかけ

 本調査は、未来創造ユースチームに所属している視覚障がいを持つメンバーの「鉄道会社によって障がいのある人に対する対応が異なるが、より障がい者に寄り添った対応に変えていってほしい」という切実な思いをきっかけに、ユースメンバー有志で話し合いを重ねて行いました。

 調査を行う際に重視したことは、そもそも企業による対応の違いはどうして生まれているのかといった「ものごとの構造から状況を理解する」ことです。そのため、現場での実際の対応だけではなく、障がいのある方への対応に関するマニュアルや研修の整備状況、人権尊重の方針など、現場の対応を支える「土台」部分を調査内容に含めました。また、視覚障がいを持つメンバーの「駅員だけではなく、乗客にも援助をお願いしやすい体制にしてほしい」「異なる鉄道会社に乗り換える際に不便を感じる」といった声も調査票に反映しました。

 調査は2024年5月10日から5月31日にかけて、36の鉄道会社に調査票を郵送で送った結果、8社から回答を得ることができました。調査対象とした鉄道会社が限られていること、有効回答数が少ないことなどから、今回の結果から日本の鉄道会社全体の傾向を論じることはできませんが、課題発見につながる意義ある結果を得ることができました。

 

2.主な調査結果

 人権方針を明文化している鉄道会社としていない鉄道会社がある:8社中3社(37%)が人権尊重に関する方針を明文化している一方で、5社(63%)は、人権方針を明文化していませんでした。また、人権方針を明文化している鉄道会社は、人権を主要なテーマとする社員向けの研修を行う傾向がありました。

 障がいのある方への対応についてのマニュアル・ガイドラインの策定:障がいのある方への対応に関するマニュアルやガイドラインを策定している鉄道会社は7社(87.5%)に上り、うち6社(86%)が定期的に見直しを行っていました。ただし、「乗客への援助の頼み方」をマニュアルやガイドラインに記載している鉄道会社は存在せず、異なる鉄道会社に乗り換える際の案内方法を記載している鉄道会社は1社(14.3%)に留まりました。

 研修の実施状況:障がいを持つ方の対応に特化した社員向けの研修は全ての鉄道会社で行われていました。どの鉄道会社でも、視覚障がいを持つ方への声かけや誘導方法は研修の内容に含まれていましたが、「視覚障がいのある方に対する乗客への援助の頼み方」を研修に含めている鉄道会社は2社(25%)だけでした。この2社は、いずれも人権方針を明文化しています。

 また、本部・管理部門の正社員や、管理職を対象に研修を行っている鉄道会社はそれぞれ2社(25%)と限られていることが分かりました。なお、本部・管理部門の正社員や管理職を対象に研修を行っている鉄道会社は、いずれも人権方針を明文化している鉄道会社でした。

 

3.提案

 本調査の結果をもとに、未来創造ユースチームとして、2つの提案を行います

①人権方針の明文化:人権方針を明文化することを提案します。管理職を含めて鉄道会社全体で障がいのある方に対する理解を深めることで、研修やマニュアルが充実し、現場での対応の質が向上する可能性があります。

②乗客による援助の推奨:乗客同士の助け合いを奨励するマニュアルの策定を提案します。これは障がいのある方を含めた全ての乗客が安心して移動できる社会を実現するための一歩となります。

 今回の調査結果を受けて、ユースチームのメンバーからは「人権方針が明文化されているかどうかで、違いがあるのが印象的だった」といったコメントがありました。この調査を通じて得られた知見が、鉄道会社の今後の取り組みに生かされることを期待しています。

調査結果の詳細は添付のPDFをご参考ください。

 

未来創造ユースチームについて

静岡県熱海市の未来創造ユースチーム(事務局:株式会社未来創造部 代表:枝廣淳子)は、気候変動や貧困問題、地方創生など日本と世界の持続可能性の課題に取り組み、社会を変えていこうとする若い世代に対して、社会変革スキルを身につけるワークショップを主催する任意団体(事務局:株式会社未来創造部)。2022年4月から毎月1回ゼミを開催し、社会課題に取り組む仲間とつながり、ネットワークを広げるための場を提供しています。
第1期(2022年4月から9月)から第6期(2024年10月から2025年3月)まで、小学生を含む延べ214人(複数期所属生も含む)の若者が参加しています。
https://www.miraisozo-youth.com/

 

<本件に関するお問い合わせ>
株式会社未来創造部  
(営業時間 平日9時~17時)
TEL:0557-48-7898
Mail:info@mirai-sozo.work