初島は、伊豆半島東部相模湾海上に浮かぶ静岡県でただひとつの有人島です。熱海市から南東に約10キロメートル、首都圏から一番近い離島でもあります。周囲約4キロメートル、面積0.5平方キロメートル弱のこの島には、41世帯、201人が住んでいます(2016年1月31日現在の住民票による)。
1年を通じて温暖なこの島は、リゾート島としても知られています。伊勢エビやアワビをはじめとする新鮮な海の幸や、亜熱帯のさまざまな植物に、スキューバダイビングやシュノーケル、釣りなどさまざまな海のアクティビティ、多くの伝説や遺跡、文学など、グルメ派にも、自然派にも、アクティビティ派にも、歴史・文学好きにも、魅力満載の島です。
約7000年前から人々が住んできた初島に、現在は、江戸時代から続く半農半漁の暮らしを守る41戸が暮らしています。江戸時代を通じ、初島の世帯数はつねに40前後でした。江戸末期の天保元年(1830年)の記録にも41世帯とあります。その後も、島の世帯数は、明治・大正・昭和・平成を経て、令和の現代まで変わっていません。もちろん観光客や滞在客の数を入れると、島の人口の何倍にもなりますが、暮らしの場としての島の世帯数はずっと一定に保たれているのです。なぜなのでしょうか?
それは、島内の耕作地や水源が限られていることから、「次男以下は島を出る。男子がいない場合は女子が婿をとって跡を継ぐ」という不文律が脈々と守られてきたためなのです。島の人々は、共同作業で耕地を耕し、漁を行い、島の実りや漁獲はみんなで分ける、という暮らしを営んできました。
まさに持続可能な島なのです! しかも、「持続可能な島であること」を、島の人々の生き方・あり方として、みんなで意思を持って選び、守ってきた、ということです。この事実は、持続可能性が問われている現代の私たちに大きな気づきと教えを提供してくれています。
コロナ危機が終息したら、講師と共に初島に渡って、新鮮でおいしい海産物をいただき、島の歴史や暮らしの話を島の人から聞きながら、自分たちや社会のあり方を考えていくツアー研修を行う予定です。どうぞお楽しみに!