
「人間の活動が出す二酸化炭素(CO2)が温暖化の大きな原因となっている」――この問題にどう対処したらいいでしょうか?
1つは、温暖化に対する備えをすることです。温暖化の原因である温室効果ガス(二酸化炭素など)はまだまだ増え続けていますから、今後、ますます高くなる気温、不安定になる雨の降り方、強大になる台風などに対する備えが必要です。
でも、根本的には「問題の根っこ」を絶たなくてはだめですよね! それに「CO2を出さない暮らしにしていくこと」です。日本が出している温室効果ガスの9割以上がCO2なのです。私たちの毎日の暮らしからも排出されています。多くは電気やガス、ガソリンを使うときに出ます。電気やガス、自動車のない不便な時代に戻らなくても、「いらない」電気・ガス・ガソリンを減らす生活はできます。
例えば、冷房をつける時間を1日1時間短縮すると(設定温度:28℃)、CO2を9.2kg削減することができます。1日に1時間、テレビ(50V型)を見る時間を減らすと、12.4kgのCO2を減らすことができます。誰もいない部屋で、電気やパソコンがついていたりしませんか? 一人一人の工夫で省エネ・節電、さらには節約にもなります。
買い物をする場合、CO2をたくさん出して作ったものは買わないようにするのも良いですね。例えば、遠くから運んできたものは近くでつくったものに比べて、輸送時に大量のCO2を出しています。「地産地消」は地元の応援とともに温暖化対策にもなるのです。
この夏は本当に暑かったですよね(まだ終わっていませんが・・・)。「このままいくと、どうなっちゃうんだろう」と不安な気持ちになってしまうかもしれませんが、私たちにはこの状況を変えることができる力があります。100からいきなりゼロにできなくても、まず90に減らせないか、次はもうちょっと工夫して85にできないか?
そんなふうに考えて行動してみませんか。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
【バックナンバー】
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未来を創り出す力 ① 『「変えたい」時 必要なこと』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
未来を創り出す力 ② 『10、20年後 どうなりたい?』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
未来を創り出す力 ③ 『物事のつながり考える』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
未来を創り出す力 ④ 『手段と目的 混同しない』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
未来を創り出す力 ⑤ 『答えを急がず 考え続ける』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
ブルーカーボン ① 『温暖化を止める3箇条』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
ブルーカーボン ② 『「熱海モデル」地域一体で』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
ブルーカーボン ③ 『藻場再生 1億粒の種まき』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
ブルーカーボン ④ 『「列島を海藻で囲む」挑戦』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
ブルーカーボン ⑤ 『CO2炭にして「固定化」』(明日への環境Lesson/静岡新聞)
温暖化 ① 『地球が沸騰した夏を経て』(明日への環境Lesson/静岡新聞)