
危機感が高まるプラスチックごみ問題。この問題に対し、国際社会ではどのような取り組みが進められているのでしょうか。
国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」では、目標14として「海洋・海洋資源の保全」が設定されており、具体的に「2025年までに海洋ごみや富栄養化を含む、とくに陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」という目標を掲げています。また目標12では、プラスチックごみを含む廃棄物を生み出す大量生産・消費型の社会・経済を変えていくことも定めています。
プラスチックごみを減らすために政府ができることの一つは、「禁止を含む規制」です。日本では2020年7月に施行された「プラスチック製買物袋有料化政策」に基づき、プラスチック製のレジ袋の削減に取り組んでいます。使い捨てプラスチック製品そのものの使用を禁止している国もありますし、レジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用を全面禁止している国もあります。うっかりスーツケースにビニール袋を入れていると、旅行先の空港で没収されちゃうかもしれません!
もう一つ大事なことは、使用済みプラスチックを、「ごみ」ではなく、「資源」として活用する産業や経済を後押しすることです。他の国では「製品の重量に対して〇%以上、回収したプラスチックを使用すること」と定めていたり、再生プラの使用を入札条件に入れている国もあります。日本でも22年に法律が施行され、補助金や税制優遇措置も提供されていますが、規制というよりは奨励的な取り組みが中心です。再生プラスチックの利用を促進するための規制や強力な支援によって、回収やリサイクルの好循環を作りたいですね。
11月25日から韓国・釜山ではプラスチックごみ問題に対処するための国際条約に関する交渉会合が開かれています。国際社会が協力してプラスチック汚染の削減に向けた取り組みが進むことが期待されます。
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2020年に移住した熱海市で環境教育に取り組む環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが、持続可能な社会をつくるために必要な力や知識を解説します。
【バックナンバー】
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プラスチックごみ問題 ① 『社会の発展 支えた物質』(明日への環境Lesson/静岡新聞)